旧耐震基準と新耐震基準とは何か?
よくテレビで、大地震が起こるたびに倒壊した家屋を見て、
「新耐震の建物だから・・・」
などと、有識者が話していますが、この「新耐震」と言う言葉、何となく意味は想像出来るけれども、実際のところ具体的にどういうことなのか知らない方も多いのではないでしょうか?
日本の耐震基準の歴史
日本はご存知の通り、世界でも有数の
「地震大国」
です。これは、3つのプレートが重なる部分のすぐそばに日本列島があるからだそうですが、、、まあそういった科学的なお話は横に置いておいて、、、
そういったことがあるので、これまでの長い歴史の中でも、幾度となく、法律による建物への耐震性能の基準が改正されてきました。
もちろん原則、厳しい方・詳細な方、に改正されています。
耐震基準の改正
細かく分けますと、数回あるのですが、原則、大きく基準が変わった節目で言いますと、
- 昭和56年(1981年)以前の旧耐震基準
- それ以降の新耐震基準
と言われています。この後、2000年にも大きな改正がありますが、これはまたの機会に記事にしようと思います。
そもそも耐震基準とは?
それでは、先ほどから言っている「耐震基準」と言うのは具体的にどんなことでしょうか?
これは、建築物や土木構造物(橋とかトンネルとか)を設計する際に、それらが最低限度の耐震能力を持っていることを保証する基準のことを指しています。
ちなみに、建築基準法の中で定められています。
ここまで聞くと、何となく想像が付くと思うのですが、この法律の基準内容が、
昭和56年(1981年)を境に改正された
と言うわけです。次に、なぜ、この時に改正されたのかと申しますと、、、
基本的には、耐震性能についての法律の改正は、耐震性能の義務付けが開始された建築基準法の制定以降、各地で大きな地震が起こって、家屋に被害が出るたびに見直され、厳しい方向に改正されてきた、といった流れです。
1964年の新潟地震、1968年の十勝沖地震から、その後1978年の宮城県沖地震、と大きな地震による建物被害から、1981年により厳しい基準にと、大改正が行われた、というわけです。
耐震基準の具体的内容とは?
そもそも、昭和56年(1981年)よりも前のいわゆる「旧耐震」の基準では、住宅は、
震度5程度の地震に耐えればよい
というものでした。
しかし、その耐震能力では全く足りない、と言うことがわかったので、改正後は大まかに言いますと、
震度6強の地震でも倒壊しないこと
になったわけです。
新耐震基準の大切な考え方
この新しい基準では、
地震による建物の倒壊をさせない
ということだけではなく、
建物内の人間の安全を確保する
ということに主眼が置かれました。つまり、
建物が部分的に破壊されてしまったとしても、少なくとも中にいた人が安全に逃げられる程度の時間は確保できるようにしましょう
というイメージです。
新耐震基準に変わった今も、それ以前の建物に対して現行の法令通りに改修する義務はない
新耐震基準に変わって、安心だな!と誰もが思うところなのですが、1つ問題があります。
旧耐震基準時代に建てられた建物は、新耐震基準に適合するようにしなくてよいのか?
と言うことです。法律的には、こういった建物のことを「既存不適格建物」と呼んでいます。もちろん、この既存不適格建物は、様々な制約がありますし、「耐震改修促進法」という法律の対象ともなっていて、出来る限り現行の法律に適合させる指導などがあるのですが、原則論、
「すぐに現行の基準に適合するように改修しなければならない」と言う「義務」は無い
のです。確かに改修には費用がかかりますし、それを全ての建物オーナーに「義務」として課することは、現実的ではありません。かと言って、国から補助金を出す事にも限度があります。結果、なかなか改修は進まないこととなって、これが現代の建築問題の1つともなっているんです。そしてこれらの旧耐震基準による建物が、大地震の時に軒並み倒壊、などに結びついてしまう事が多いわけです。
そしてこれは、現在全国で販売されている、中古のマンションや中古の住宅の中にも、
たくさんの旧耐震基準建物がある
ということでもあります。
ですので、もし、
中古住宅などを買おう!
と、現在探されている方は、このことをしっかりと頭に入れた上で、探されることをおすすめします。
状況に応じて、既存建物状況調査 を利用することも大切なことだと思います。
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