木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のそれぞれの特徴について
家を建てるとなると、まず考えるのが、この、
建物の構造形式
です。よく、賃貸マンションも、鉄筋コンクリート?鉄骨?などとよく言いますが、みなさんは、
- これらが具体的にどんなものか?
- どんな特徴があるのか?
- どういう観点で選択すべきなのか?
などを、ご存知でしょうか?
というわけで、今回は、この建築物の構造形式について、わかりやすく単純化して記事にまとめてみようと思います。
建物の構造形式の種類
まず、この構造形式っていうのは、メジャーなものとしては、そんなに多くはありません。
原則的に標準的なのは、
- 木造
- 鉄骨造(S造)
- 鉄筋コンクリート造(RC造)(RC造)
- 鉄骨鉄筋コンクリート造(RC造)(SRC造)
というものとなります。他にも「組積造」などもありますが今回は割愛します。
そして、4つ目の「鉄骨鉄筋コンクリート造(RC造)」は、高層のビルや高層マンションなどで主に採用されますので、これも割愛いたします。
残るは、皆さんもよく聞くと思われる3種類です。
建物の構造形式の特徴
この3つについて、簡単に特徴をまとめます。
構造 | 重さ | しなやかさ | 階数限度 | 可燃性 | 工事費 |
木造 | 軽い | しなやかだが変形しやすい | 3階位 | 原則可燃 | 安い |
鉄骨造 | 普通 | しなやか | 制限なし | 不燃 | 高め |
RC造 | 思い | ガチガチ | 制限なし | 不燃 | 高い |
では、横軸の項目がそれぞれ、何を意味するか書きましょう!
建物の重さ
が何に関係あるのか???
と申しますと、、、建物の重さは地震に関係あります。簡単に言えば、建物の重さが重ければ重いほど、地震時にかかる力が増えるということです。
わかりやすく言いますと、
- 震度1は、建物の重さ×1倍の力が加わる
- 震度2は、建物の重さ×2倍の力が加わる
- 震度3は、建物の重さ×3倍の力が加わる・・・・・
というような感じです。
「であれば、軽ければ軽いほうが良いのでは?」
と考えるのが普通ですが、基本的には まさにその通りです! 原則はそう考えるのが間違いありません。
しなやかさ
とは、何のことかと申しますと、、、これは、地震や、台風による力の吸収の仕方・具合を表します。
簡単に言えば、風の力が加わっても、しなやかなススキの穂は揺れて変形することで、風の力を吸収します。
対して、硬い大木は、台風時も揺れて吸収できないので、代わりにガチガチの硬さで揺れを強引にねじ伏せて吸収します。
そうして、その力をねじ伏せれない場合、破壊されて倒れてしまう、というメカニズムなのです。
階数
はそのままですね。建てることの出来る標準的な階数のことです。
鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造は、構造計算や避難の規定など、法律や条例などをクリアできれば、階数制限はありません。
可燃性
これは、単純に火事のときのことを考慮して記載しました。
工事費
はいわゆる工事費の坪単価で比較したものです。工事費については、多くの雑誌やWEBサイトでも書いてありますので、大抵の方は既に調べて、なんとなく知ってることと思います。
さて、それでは大事なところをもう少し深く掘り下げて考えてみます。
建物の構造形式の特徴を掘り下げて考えてみる
建物の重さ と しなやかさ はそれぞれ一長一短ですから、どちらが大切か、必要かを自分で考える必要があります。
建物の重さ については「重いのはダメなのか?」 という話に「ついつい」なってしまいますが、当然法律上、その重さがあっても地震に耐えられるような計算の上で成り立っていますので、実際は、震度6の地震が来ても、建物が倒壊するか否かのリスクは、木造でも鉄骨造でも、鉄筋コンクリート造(RC造)でも原則的には変わらないと考えて良いと思います。少なくとも、確認申請で構造計算がなされている建物ならば「法律上決められた構造耐力を有している」と行政が保証しているようなものですからね。
さて、実はここで一番気になる問題は しなやかさ です。
「これだって、耐えられれば同じなんだから、何が違うの?」
と思いますよね。しかし、どうしても違いはあります。それは、、、
大き目の地震が来て 過ぎ去った後 が違うということです。
つまり、揺れて耐える ということは、単純化して考えると、大きな振れ巾で「ワーッサ、ワーッサ」と言った感じで揺れると言うことになります。そうしますと、実際、建物内の内装や家具はかなり揺れます。ですので、倒れたり、破れたりで、破壊されてしまうことが多い上、倒壊した家具によって、怪我を負うことも少なくないということなのです。サッシなどは大きく歪みますから、ガラスの変形可能な範囲を超えればガラスは割れてしまいます。
そして、建物自体は変形によって倒壊しないまでも、この1度目の地震で、構造体が一部損傷してしまう、ということは充分考えられます。そうなりますと、1度目の大きな地震が過ぎ去った時は良くても、2度目3度目に大きな地震が来たら、1度目同様に耐えられるのか?4度目は?・・・という不安がどうしても付きまとうこととなります。
これに対して、ガチガチに耐える鉄筋コンクリート造(RC造)のような建物は、当然、建物内も「しなやか派」と比べて、あまり大きな振れ巾では揺れにくくなります。どちらかと言うと「ガタガタガタガタ」と言った感じでしょう。ですので、そういう意味では、内装、家具には影響は少なくて済みますし、1度目の地震の後に、抱える損傷も少なくて済むと思われます。
そうなってきますと、
「そういう話なら、やっぱり鉄筋コンクリート造(RC造)が一番良いの?」
と考えますよね。
はい。もし地震や嵐のことのみを大事に考えるならば、一番オススメできるのは、どうしても「鉄筋コンクリート造(RC造)」となると思います。
しかし、建物を建てるための重要な観点は「災害に強い」と言うことだけではありませんよね。
- 予算
- デザイン
- 増築・建替えなどがしやすい
- 税金的な面
などなど様々な要素があります。
鉄筋コンクリート造(RC造)は、みなさんご存知のように、どうしても木造と比べれば、
坪単価は高くなりがち
なのは間違いありません。それならば、
木造でリーズナブルに建てて、鉄筋コンクリート造(RC造)との差額を、万が一のときのメンテナンスや修理費用にプールしておく
という資金計画も、考え方の選択肢としてはあると思います。
構造形式の違いによる建物のデザイン
そのほかに、これらの構造形式の違いの中に、
デザインとして得手・不得手のものがある
と言う違いがあります。最もわかりやすいものが、
飛ばせるスパンの違い
です。どういう意味か?と言いますと、簡単に言えば 柱と柱の距離(スパン)が結構違う ということです。
木造はどうしてもスパンは短くなります。逆に鉄筋コンクリートラーメン構造や鉄骨造ならば、7m程度のスパン がなら普通によくあることです。
これがどういったことに影響を及ぼすかと言いいますと、
- 駐車場の間口幅
- 窓の最大幅
などに影響を及ぼします。簡単に言いますと、スパンが飛ばせるならば、その間に余計な柱などが必要ないので、大きな開口部が作れる、ということです。
- 特別に大きい窓を作りたい
- 車を3台並べられる間口のガレージを作りたい
などの特別な要望があれば、どうしても木造では難しい場合もあります。無理をすれば可能なケースもありますが、どんなことでも「無理をする」ということは何らかの影響がどこかに現れる恐れがあります。これらは、
- リスクとしてどこまで受け入れるのか?
- リスクを回避するためにデザインの変更をどこまで許容するのか?
ということにもつながって来ますので、とても重要なことなんですね。
他にも様々、構造上のそれぞれの特性はあります。
こういった、それぞれの特性を知った上で、そして限られた条件の中で、どの構造形式を選択していくのかを模索していくこともとても大事なことなのです。
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