住宅設計:「ご相談~お引渡し」までの流れ
住宅設計の全体の流れ
ご自分の家を建てることが人生に何回もある方、というのも稀なものです。大抵の方が「家を持つ」ということ自体が初めてなはずですので、ここでその全体の流れをご説明したいと思います。
01、ご相談をお受けします
まず、皆様「建主様(たてぬしさま)」より、お電話・メールなどのコンタクトを頂き、お会いするなどして「初めてのご相談」を受けます。
02、ご希望・ご要望をお聞ききします
建主様より、家に対する具体的な希望をお聞きします。
- 庭が欲しい
- リビングは2階が良い
- 部屋は何室欲しい
などなど。。。
03、基本データのご提供をしていただきます
既に土地を取得されている場合は、
- 住所
- 測量図
- 地盤調査資料
など、お手元にある資料ををご提供いただきます。
まだ、土地を取得しておらず、まずは土地探しから!と言う場合は、当方が縁のある土地探しのプロをご紹介し、土地探しの時点から様々なアドバイスをさせていただきます。
関連BLOG記事 土地について知っておいて頂きたいこと ①
関連BLOG記事 土地について知っておいて頂きたいこと ②
この「基本データのご提供」を頂きましたら、上記02番のご要望に基づきまして、今後のたたき台となります、「基本計画案」を作成させていただきます。これが、
第1回目のご提案
となります。なお、この 第1回目のご提案まではサービス とさせていただいております。
04、調査・基本計画業務を開始します
第1回目のご提案後に、引き続き、より一層掘り下げたご相談や計画をご依頼いただく場合は、「調査・基本計画業務」に移行することいとなります。 ※ ここからはサービスではございません。
ここで業務開始前にお客様からお支払いいただく「調査、基本計画業務料」は、後に当事務所と「設計監理業務委託契約」をしていただいた場合、その設計監理料の一部に充当させていただきます。
また、この調査、基本計画業務の内容は、下記の05番~09番までの業務内容 となります。
なお、上記の「調査、基本計画業務料」は、一律、
10万円(税別) |
となります。
05、計画敷地の調査に入ります
- 計画敷地の法的制限(役所、都道府県の出先機関などにて)
- 前面道路状況、排水・給水などの状況
などの調査です。これは建物の設計における最も大事な枠組みの1つですのでおろそかには出来ません。
06、基本計画案の作成を開始します
ご提示いただいた資料、調査内容を元に、基本計画案の作成に移ります。建主様のご希望をできる限り網羅させて、その上で、より良いライフスタイルが確立できるデザインや間取りをご提案させていただきます。
07、基本計画案をもとにお客様のご要望をお聞きし、こちらからはご提案や助言をします
基本計画案を草案として、建主様とディスカッションを繰り返していきます。
建主様:この雑誌のような感じにしたいんだけど。。。
当方:なるほど、ではこんな風にしたらいかがでしょう?
と言った具合に、色々な要素を積み重ねていきます。
08、数度の打ち合わせを経てから基本計画案の決定をします
細かい部分に関しては、設計を進めていく上で、多少の変更が必要となるケースがあったり、お客様の要望が変わるケースもあります。そのため、ここで大筋の計画内容は決定するのですが、細かい部分については、設計監理契約締結後に、お客様と随時お打ち合わせの上で変更する場合も多々あります。
09、工事の概算見積りを出します
この時点で、ご要望のイメージ化は充分に出来てきていると思われますが、
希望はまとまったけれど予算内で出来るのだろうか?
と言ったような、今度は実際の工事費の面に不安も出て来ることと思われますので、一旦ここまでの内容をまとめたた図面をもって、概算見積りを出します。
その結果、もし予算オーバーをしている場合は、今後の設計段階にてスリムアップしていくことで、予算内に納められそうかどうかを勘案していきます。
10、基本計画案をもとに設計監理業務委託契約をします
当社のご提案する基本計画案にご満足いただき、予算もクリア出来るビジョンが見えてきましたら、具体的な設計に移る前に、設計と監理の契約である
設計監理業務委託契約
をしていただくこととなります。契約後は、まず「基本計画」というイメージ的なものから「基本設計」という、より現実的なレベルのものに、内容をグレードアップさせていきます。
関連 設計料と監理料
11、基本設計図の作成を開始します
基本設計内容が確定しましたら、基本設計図を作成します。そして、これを元に、基本計画時同様、建主様とはディスカッションを深めていきます。
12、数度の打ち合わせを経てから基本設計図の決定をします
細かい部分に関しては、後の「実施設計」を進めていく上で、多少の変更が必要となるケースがあったり、お客様の要望が変わるケースも多々あります。
そのため、大筋の計画は決定するのですが、細かい部分については、実施設計と平行して、お客様と随時お打ち合わせの上で変更する場合も多々あります。
13、実施設計図の作成を開始します
ここからは、詳細図を作成していきます。同時に、
- 仕様の細かい内容
- 各部詳細な寸法
- 仕上材の選定
- 各設備機器類のメーカー・商品・型番の決定
- 外構の植栽の選定
など、細かい内容もつめていきます。
14、実施設計図の決定をします
細かい部分に関しては工事を進めていく上で、多少の変更が必要となるケースがあったり、お客様の要望が変わるケースもあります。そのため原則的には実施設計図通りの工事となるのですが、細かい部分については、工事と平行して、お客様と随時お打ち合わせの上、可能な場合は変更する場合もあります。
また、この段階で行政または指定確認検査機関への「確認申請」を建主様の代理で申請します。
15、施工会社への工事費の見積り依頼をします
実施設計図の完成によって、建物の細かい仕様も決まったので、より正確な工事費の見積りを依頼します。
まずは、この工事費見積りを依頼する施工会社の選定から始まります。
施工会社は建主様がお選びになっても構いませんですし、当事務所が何社か推薦させていただくという形でも構いません。また、数社の施工会社による「相見積り」という形でももちろん大丈夫です。
16、工事見積り書の内容の吟味、施工会社との折衝をします
施工会社から上がってきた工事見積り書の内容を吟味して、それが適正なのかどうか、妥当性を判断しまして、施工会社と折衝をします。
工事見積書は専門的なことも多く、一般の方にはわかりにくい所もございますので、大抵は当事務所が間に入り、内容の吟味、折衝をしまして、その都度状況をお客様にご報告させていただいております。
17、施工会社の決定をしていただきます
工事見積り書の内容確認、施工会社の担当者との面接を経て、施工会社を決定していただきます。
18、施工会社と工事請負契約をしていただきます
設計監理業務の1つとしまして「工事請負契約への協力」というものがあります。
これは、
- 施工者選定への助言
- 工事見積りのための説明
のほかに、
工事請負契約への助言
というものが含まれています。これは、お客様が施工会社と工事請負契約をするに際して、契約内容についての助言をする、というものです。
具体的には、
- お客様側に不利な内容が盛り込まれていないか
- 一般的とは言えない部分がないか
などををチェックいたします。(例えば「工事金の支払い時期」の内容など)
これは非常に大事です。工事契約は大きなお金が動く契約ですので、当然おろそかにはできません。
「設計監理+施工」を一括で受ける会社が相手の場合、本来であれば、設計事務所など他の専門家に内容の吟味を頼むのがベターです。
しかし、一般に、そこまでする方は少ないため、設計施工会社側に有利な契約内容のまま契約してしまい、それによってトラブルになったりするのです。過去にはそういった事もあって、ネット上でメチャクチャ酷い評判の工務店やハウスメーカーが存在したりするわけです。
もちろん、世の中にはたとえ会社規模は小さくても、素晴らしい施工技術を持ち、真摯な請負業務を全うする施工会社もたくさんあります。ですので、そういった施工会社に工事の依頼ができればベストです。ただ、そうは言いましても建主さまにとっては、不安が完全に拭い去れるわけでもありませんので、一般論として
設計監理と施工会社は別々の会社にした方が良い
と、昔から言われているのです。「第3者監理」など言う言葉もあるくらいです。
契約内容「工事着工時に総工費を全額一括支払いする」(滅多なことでは無いと思われます)
建主様は契約して、着工時にお金を全額払います。着工後に工事の内容がひどいことが判明したため、途中契約解除して他の施工会社に変えたいのだが、施工会社は契約解除を認めずお金を返そうともしない。
→ 訴訟へ(当然工事は中断、訴訟費用・心労も発生)
19、地鎮祭 ~ 工事着工 ~ 上棟式 ~ 建物竣工
ここから、建物の竣工までは、わたし達が工事を監理します。適正な工事がなされているかどうか、のチェックです。
20、確認申請の完了検査 等
確認申請の完了検査をはじめ、必要となる諸官庁の検査を受けます。
21、監理者竣工検査、手直し工事
わたし達、設計監理者が建物の竣工検査をいたします。手直しをする必要があると判断した箇所は、施工会社に手直し工事をしてもらいます。
22、施主竣工検査、手直し工事
経主様に検査をしていただきます。
23、建物竣工、建物引渡し
ここで初めて、建物の本当の竣工(完成)となります。建主様に施工会社から建物の引渡しをいたしまして、施工会社から各設備機器等の操作説明や注意事項の説明などを受けます。
以上が「ご相談から建物引渡し」までの流れとなります。原則的には上記の流れが一般的ですが、ケースによっては、上記項目が前後したり、省略・追加される場合もあります。
「ご相談~お引渡しまで」というのは、とても長い期間ですので、皆様にとっては気になることも多いかと思われます。少しでも気になることがございましたら、是非お気軽にご質問ください。
関連BLOG記事 家を建てるときに土地や工事費、設計料以外でかかる費用