「鉄筋コンクリート」とは何か?
今回から何回かに分けて「鉄筋コンクリートの住宅」について、簡単にまとめてみようと思います。
鉄筋コンクリートとは?
さて、これまでも、木造と鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造の大まかな違いや、その他にも 耐震性能などの話では、鉄筋コンクリート造(RC造)の話をしてきましたが、 まず今回はその「鉄筋コンクリート」という素材自身に焦点を絞ってみようと思います。
鉄筋コンクリートとはどんなものなの?
まずは、鉄筋コンクリートとは何でしょうか。
これは、まさに、文字通りです。
「鉄筋」というゴツゴツした鉄の棒と、「コンクリート」が合体したものです。 鉄筋とは「鉄の筋肉」と思っておきましょう。
上の絵は、鉄筋コンクリートの柱の断面イメージ図です。 こんな風に、コンクリートのかたまりの中に 複数の鉄筋が通ってるというわけです。 これは柱の絵ですが、もちろん、壁や床や梁など、鉄筋コンクリートで出来ているところであれば、全て鉄筋が入っています。
では、
なぜコンクリートだけじゃダメなの?
と思う方も多いと思います。
なぜ鉄筋とコンクリートのコンビになっているのか?
それは、それぞれの素材自身の特徴によるのです。では、それぞれの素材の特徴をまとめてみます。
コンクリートの特徴
- 圧縮に強い
- 引っ張りに弱い
- 風雨にさらされても、ある程度なら強い
鉄筋(鉄)の特徴
- 圧縮に弱い
- 引っ張りに強い
- 風雨にさらされると、錆びるので弱い
こうまとめてみると、一目瞭然ですね。
まさに、強いところと、弱いところが正反対なんですね。
とくに3つ目の項目は、
「鉄筋が弱いから、それをコンクリートが包み込んで守っている」
ということで、ボディガードのように守っていると言う形となっています。
そして、1つ目や2つ目の特徴は、お互いに弱いところを、お互いの強い部分で補い合っているということになります。
と言うのも、地震や台風などで建物が揺れますと「建物は硬い」とは言っても、 当然、若干ゆがんでいます。その時、曲がった鉄筋コンクリートには「伸びてる側」と「縮んでる側」があります。
地震の時などは「鉄筋コンクリートは硬い」と言いましても、極端な話、上の図のように変形しているわけです。
そうしますと、図のように、
- 伸びている側は、中の鉄筋も伸びている
- 縮んでいる側は、中の鉄筋も縮んでいる
と言うことが起こっているのです。
ここで、先ほどのコンクリートの特徴と鉄筋の特徴を考えてみます。コンクリートと鉄筋は正反対の特徴を持っているので、わかりやすく言うならば、
- 伸びている側では、伸びに強い鉄筋が踏ん張ってくれている
- 縮んでいる側では、圧縮に強いコンクリートが踏ん張ってくれている
というメカニズムとなるわけです。
こうして、変形が行き過ぎて、破壊されないように頑張っている、これが「鉄筋コンクリート」と言う素材なのです。
異素材の合体による問題点
ただ、ここでひとつ、異素材のものが一緒になっている場合の大きな問題点として、
膨張率の違い
と言うものがあります。
簡単に言いますと、夏の暑いときには、 鉄筋コンクリートも膨張し、大きくなるのですが、異素材の場合、 通常はこの膨張率が違うので、コンクリートと鉄の膨張率が違えば、膨張の過程で片方だけかなり大きくなってしまって、下手したら破壊されてしまう可能性があるのです。
しかしなんと、この2つの素材、 ほとんど膨張率が同じ なのです。なので、真夏でも真冬でも同じような膨張・収縮なので、 それが原因で破壊されてしまうような心配も無い、というわけなのです。
古い歴史のあるこの鉄筋コンクリートという素材は、実は色々な意味で本当に優れた「材料」ということなんですね。
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