鉄筋コンクリート造の住宅と木造住宅の寿命の比較

これまでの話で、鉄筋コンクリート造(RC造)の家は、木造と比べても強いということはよく理解していただけたかと思います。

鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅と木造住宅の寿命

それでは、実際のところ、新築から何年くらい安心して暮らせるのでしょうか?木造と比較しながら考えてみようと思います。

鉄筋コンクリートと木の寿命

聞いたことがある人も多いのではないかと思いますが、

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)は47年
  • 木造は22年

と言われています。これは何が根拠かと言いますと、税金や売買においての建物の

減価償却期間による寿命

というものです。では、

減価償却期間って何?

と言う方も多いと思います。これは簡単に言えば、ある日の建物の価値を知るために、

築年数から割り出す基準

のことです。鉄筋コンクリート造(RC造)の建物なら、新築時に100円とすると、そこから1年ごとに徐々に安くなっていって、47年後は0円ですよってことです。

つまり「木造の方が25年早く価値が無くなりますよ」と国税庁は言ってるわけですね。とは言いましても、売る時や課税といった意味での価値はゼロだとしても、

実際のところ住み続けられるかどうか?

となりますと、当然これとは別です。では、一般的な人はどう考えているのでしょうか?

家が取り壊される平均寿命

実際に住めなくなってしまったので家を取り壊しましょう、という観点で行きますと、

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションで37年
  • 木造の家は27年

ぐらいが平均と言われています。

ここで既に10年の差があります。ただこれも、賃貸などに使っていて「古くなってきたから借り手がつかない」などの理由で取り壊す、ということも多いので、今回の記事で命題にしている

「安心して住み続ける限界年数」

とは、やはり違います。

鉄筋コンクリート造(RC造)、木造の本当の物理的な寿命

科学的な話や自然状況、立地状況など、いくつもの要素が絡んではくるので、一概に鵜呑みには出来ないのですので参考までに、となりますが、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は117年という専門家もいますし、68年とうたう本や、120年〜150年と書いてある本もあります。

もちろん、 実際には配管の種類などや設備の関係は、その期間よりも早く劣化しますし、それによる影響が無いとはいえません。しかし、総じて想像よりはるかに長いと思いませんか?

しかも、今では既存の建物を少しでも長生きさせるための技術も、日進月歩で進化しており、一例では、築80年の鉄筋コンクリート造(RC造)の建物を改修したというものがあったりもします。

さすがにこれには、専門家であるわたし達も驚きます。

しかも、この改修時に鉄筋コンクリートの強度がどの程度なのかを 試験した結果、「問題なし」と判定されたとのことです。

とは言いましても、当然どこかしら劣化している部分はあるはずですから、一部は鉄筋を張替えたり、新しいコンクリートを入れて補修、そして表面に薄く「ポリマーセメントモルタル」と言うものを塗布することで、なんと寿命は60年ほどプラスされ「築140年まで伸びる」と認定されたのです。

木造も適切なメンテナンスを行っていれば、早稲田大学の教授らの調査によれば、人間の平均寿命を予測するのと同じようなやり方で家について評価した場合、「木造住宅の寿命は64年」とのことなんですね。これもまたかなり長いですね。

と言いましても、 鉄筋コンクリート造(RC造)の半分程度です。しかも、その64年の間に致命的な損傷を受ける可能性のある地震や台風、シロアリ被害などの自然災害を受けない、と言う前提ではあります。

どこの地域でも、毎年、台風や強風、多少なりともの地震には晒されますので、実際64年と言うのは難しいでしょう。あくまでも机上の理論と言ったところと思います。そして、日本の「高温多湿」と言った気候状況を踏まえれば尚更、と言ったところでしょうか。

そう考えれば、多少の地震や台風などがあっても、寿命にそこまで大きく影響しない 鉄筋コンクリート造(RC造)は、建物の寿命と言う意味においては「安定感抜群」だと言うことなんですね。建物本体(躯体)に対しての適切なメンテナンスを、15年程度に1回くらい行い続けていれば、おそらくは3世代に渡って快適に生活の出来る建物であり続けると思われます。

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