築30年でも建物の鉄筋が錆びない理由

今回は鉄筋コンクリートの中に埋まっています、

鉄筋についてのお話

を書いていこうと思います。

鉄筋の形

鉄筋とは「ごつごつした鉄の棒」ではあります、ただの鉄の棒というわけではありません。

大抵は「異形鉄筋」という、表面に凹凸のある鉄筋が使われています。

これはなぜなのか?

と言いますと、地震時などに、コンクリートと常に一緒に変型するために、 コンクリート内での引っ掛かりの「爪」の役割をしてるということなんです。

これの凸凹が無ければ、鉄筋は コンクリートの中で滑ってしまいますから、変形時に伸びている側では、伸びに弱いコンクリートの代わりに鉄筋が踏ん張ってあげることができなくなります。さて次に、この鉄筋、、、

なぜ「鉄」なんでしょうか?

鉄は錆びるし、外部で使うには適してないんじゃないかな?

たしかに、そう考えるのが一般的ですよね。できるならば、アルミやステンレスが良いと思ってしまいます。。。

しかし、アルミではは、やはり強度が不安です。もちろん、強度的には鉄よりも 数段落ちてしまいます。でも、重さは軽くはなりますが。でも、あまりにも 柔らかすぎて。簡単に曲がってしまうようでは構造体にするには 少し心もとないですよね。

では、ステンレスでは? もちろん、ステンレスにできるなら、それが一番良いでしょう。 でも、鉄と比べて、価格がはるかに高価です。。。これでは採算が合いません。

そういった意味で、これらに引き換え、鉄と言う素材は、

  • 安い
  • 強い
  • 加工しやすい
  • 手に入れやすい

と4拍子そろっているわけです。

それに、以前も書きましたが、この鉄は、コンクリートの鎧で守られているわけですから、 そういう意味で鉄の弱い部分はかなりカバーされているわけです。

しかし、、、時間が経てばいずれはコンクリートの持っている水分で錆びていくのでは? と言う気もして参ります。

ではここで、本題の

なぜ鉄筋は錆びないのか?

これは、化学的な話になるのですが、

コンクリートはアルカリ性

なのです。錆びるためには、錆び=酸化 と言うメカニズムからもわかるとおり「酸性」が必要です。

酸性と正反対のアルカリ性のコンクリートに密閉されて包まれているならば、なかなか錆びるということになりにくい、というわけなんです。

しかし、だからと言って、

コンクリートが壊れない限り一生錆びることはない!

と言う事にはなりません。残念ながら。。。 なぜなら、今度はコンクリート自身の問題で、

コンクリートの中性化

という問題があるからなのです。

これはどういうことか、と申しますと、昔から、言われている「酸性雨」が原因です。

雨ざらしのコンクリートに、この酸性雨が少しづつ染み込む事で、 もともとアルカリ性だったコンクリートは、徐々に徐々に酸性よりに近づいていきます。そして、ついに中性にまでなってしまう、と言うことなんですね。

中性になってしまえば、鉄筋は守られているようで、ほとんど守られていないのと同じです。水分と酸素さえあれば、簡単に「酸化=錆び」となってしまうわけです。

ですので、コンクリート打ち放しなどの仕上げの場合、仕上げのコンクリート自身に対しても、

撥水材などを塗ってあげる

と言ったことで、しっかりと保護してあげないといけないのです。

こういった努力と、コンクリートの保護作用があってはじめて、

築30年でも鉄筋は錆びずに建物の強度を保っている

と言うことにつながるわけです。 

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