鉄筋コンクリート造にも種類があります

鉄筋コンクリート造(RC造)の建物には、その中でまたいくつか種類があります。

鉄筋コンクリート造(RC造)の種類

鉄筋コンクリートで出来ていると言うだけで、1種類じゃないの?

と思う方も多いと思います。

たしかに、材料としては鉄筋コンクリートなので、 「鉄筋コンクリート造(RC造)」ではあるんですが、その鉄筋コンクリートを、

どのように組んで建物が壊れないようにするか?

というのが、 2番目に問われる構造形式なのです。 

高窓のある家 地上2階 鉄筋コンクリート造(RC造) 200㎡

鉄筋コンクリートの強度の持たせ方の種類

まず鉄筋コンクリートは、木などよりもはるかに固くて頑丈な素材です。ですので、この鉄筋コンクリートを使って家を建てる場合、一番はじめに思い付くのが、

壁でもたせる

という考え方です。

柱など不要で壁だけがあれば大丈夫だろう

と言う考え方です。とは言え、壁に窓や扉がたくさんあって、その壁の強度が弱そう、と言うのはよくありませんよね。であればその分、他のところに鉄筋コンクリートの壁をつくってあげればよいのでは? というように、所定の壁の量があって、しかも、バランスよく配置されていないと、構造的には優秀とは言えないのですが。。。

いずれにしても、この辺りの事がきちんとクリアできた場合に構造体としてしっかりとした強度が発揮できます。この構造を

「壁式構造」

と言います。

この壁式構造は、柱などがないので凸凹の無い整形の四角い部屋が 作りやすいこととなります。しかし、壁のみで強度を確保しているので、先ほどの話にも書きましたが、バランス良い壁の配置が必要となるので、例えば、

部屋の真ん中にどうしても壁が必要になってしまう

など、間取りには悪影響を及ぼすことがよくあります。また、各階ある程度ランダムに配置されている壁のみで 支えているということから「5階建てくらいまでが限度」と言われています。ですので、逆に1戸建ての家なら、多くても3階建てくらいと思われますので、全く問題は無いといえます。

この壁式の鉄筋コンクリート造(RC造)は、ハウスメーカーでも採用しているところがありますので、ある意味身近な鉄筋コンクリート造(RC造)とも言えます。

そして、もう1つの構造形式は、

柱と梁でもたせる

と言った構造です。

おそらく、全ての建築物を押し並べれば、世の中で最も普及している鉄筋コンクリート造(RC造)だと思われます。

マンションなど、規模の大きい建物であれば、大抵のケース、この構造形式を採用していると思われます。この構造は正式には

「ラーメン構造」

と言います。

このラーメン構造は、原則的に柱と梁で強度を確保するので、 柱と柱の間は全て穴が開いていても可能な構造形式です。なので、

  • 大開口部(窓や扉やシャッターなど)を作ることができる
  • 大きな吹き抜けを作ることが出来る

などのメリットがあります。なので、巾5m近くの窓を作りたい!などのような、具体的な夢がある方の場合は、ラーメン構造を選択するのがオススメと思われます。

デメリットは、壁構造と比べて、室内の端に柱や梁の出っ張りが出てしまうことくらいでしょうか。鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションに住んだことある方なら想像がしやすいと思います。

住んでみればわかるのですが、実際はそんなに気になるほどのものでもありません。むしろ、家具の配置などを考えた時に、ロスが生まれにくい場合もあります。

この、鉄筋コンクリートラーメン構造は、今現在、標準でやっているハウスメーカーは無いと思われます。ですので、工務店に直接依頼をするか、 建築設計事務所に依頼をするしかありません。

ただ、鉄筋コンクリート造(RC造)は、設計段階でミスをすると、木造のように簡単に部分的なやり直しは効きませんので 、

綿密な設計と緻密な詳細設計図を作成する必要がある

のです。

そういうこともあって、鉄筋コンクリートラーメン構造は、建築設計事務所が設計をしていることがほとんどなのです。

その他の構造形式

ここまで、2種類の代表的な鉄筋コンクリート造(RC造)の構造形式を説明してきましたが、実際は細分化するとまだあります。例えば、低層の建物ならば、上記の2つの構造を 併用した、「壁式ラーメン構造」と言うものもあります。

ただ、世の中にあまり数の無いような特殊な構造の場合は、特殊であればあるほど、その構造計算の経験がある構造事務所も少なくなるため、価格も上がっていく傾向にあります。需要と供給の関係からどうしても価格が釣りあがります。同時に施工会社についても同じことが言えます。

ですので、よっぽど特殊な構造形式を求める理由がない限り は、この代表的な2種類のどちらかを選択するのが

  • 施工的に安心
  • コスト面で経済的

と言うことにつながるということです。